
ついに本日、『法隆寺』が春風社から発売になりました。見本は一昨日に届いたのですが、大変おしゃれな装丁に目を見張る一方、その存在感というか、予想以上のボリュームに、すっかり圧倒されてしまいました。
全422ページで、物差しで計ってみたところ、厚さ33mm。あと2mmあれば、いわゆる映画フィルムの標準サイズである35mmと同じです。いやはや…。
数ある青江の著作の中でも、『狩野亨吉の生涯』に次ぐ大冊で、まさに代表戯曲2作をぎゅっと収めた、記念碑的書籍のカンロクが漂います。
しかし、そんな体裁にも関わらず、手に取ってみるとそれほど重く感じないのは、春風社の三浦衛社長のこだわりで、OKサワークリームという種類の紙を使用しているからだとのこと。軽さ、めくりやすさ、見た目のやさしさ、そして何より、青江の著作はあまりお高くとまらない紙質が合っているのでは、と考えた上での選択だそうです。また、作品クライマックスの火災をイメージさせる表紙タイトル周辺の焼け焦げは、デジタル処理ではなく、ブックデザイナーの矢萩多聞さんが、実際に紙を火であぶってあのような模様を作ったそうで、ここにも作り手のこだわりが垣間見えます。昨年11月に一気に話がまとまり、かなり早いペースで制作が進んだのですが、そんな中でも、ぬくもりにあふれた本を世に出せたことを嬉しく思います。青江もこの出来栄えにはおそらく満足していることでしょう。
今日(4/30)は青江の祥月命日。本を仏前に供え、無事の刊行を報告するとともに、この1冊が半世紀の時を超え、新たな読者と実りある出会いを果たすことを祈願したいと思っています。
・春風社の『法隆寺』紹介ページ